APPROVAL / 稟議・社内説得
止まるのは金額ではなく、
答えられない質問。
決裁の場で必ず出る5問と、その場で出せる形の答えを用意します。
「動画を作りたいが、上に説明できる材料がない」
「見積もりは取ったが、社内で止まったまま3ヶ月経った」
「”それで応募は増えるの?”と聞かれて答えられなかった」
採用動画の話が社内で止まるとき、原因は金額そのものではないことがほとんどです。金額に対して「これだけの効果がある」と説明する材料が手元にないから、決裁者が判断できないという状態です。この記事は、その材料の作り方に絞って書きます。
結論:聞かれるのはこの5問
| 聞かれること | 用意しておく答えの形 | |
|---|---|---|
| Q1 | それで応募は増えるのか | 増える時期と、判断する指標を先に決めておく |
| Q2 | いくらかかるのか。なぜその金額か | 工程別の内訳(一式では通らない) |
| Q3 | 他の手段ではだめなのか | 無料の打ち手を先に試した記録 |
| Q4 | 効果はどう測るのか | 測る指標・測る人・見る時期 |
| Q5 | 失敗したらどうするのか | 作り直しの条件と、素材の権利 |
Q1「それで応募は増えるのか」
いちばん答えにくい質問です。正直に答えるのが結果的にいちばん通ります。
当社が支援した例では、最初の応募が来たのは3ヶ月目と4ヶ月目でした。1ヶ月では出ません。この時間軸を先に伝えておかないと、公開1ヶ月後に「効果がない」と判断されて終わります。
そしてもう1つ、応募の入口が動画とは限りません。同じ例で、応募経路自体は求人媒体だったものの、本人が「決め手は動画を見たこと」と話しているケースがあります。
「動画で応募を集める」ではなく、「いま出している求人が、決まるようになる」と書いてください。既存の採用予算の成果を上げる話になるので、新規予算ではなく既存投資の改善として説明できます。求人媒体を否定せずに済むのも利点です。
Q2「いくらかかるのか。なぜその金額か」
「動画制作一式」と書かれた見積書は、決裁に出せません。何にいくら払うのかが分からないものは、比較も検証もできないためです。
制作会社に、次の4つに分けて出し直してもらってください。
- 企画・構成
- 撮影(拠点数と日数を明記)
- 編集・MA
- ディレクション・進行
分けてもらうと、その会社が何にお金をかけているかが見えます。企画の金額がほぼ入っていない会社は、決めるところは自社でやる前提です。これは良し悪しではなく、社内の工数がどれだけ必要かの判断材料になります。
Q3「他の手段ではだめなのか」
決裁者としては当然の質問です。そしてこの質問に強いのは、無料の打ち手を先に試した記録がある人です。
- 求人票の書き換えを試した記録
仕事内容の1行目、労働時間、応募条件の3か所を直して2週間見た結果。改善したなら「ここまではやりました」と言えます。改善しなかったなら「文面では足りませんでした」という根拠になります。
- 写真を自社のものに差し替えた記録
素材写真から現場写真に変えた前後の比較。ここまでは費用がかかりません。
- それでも足りなかった理由
「文面と写真では、1日の流れと人の様子が伝わらない」という一文。ここが動画に進む論拠になります。
順番が逆だと通りません。費用ゼロの手を試していない状態で見積もりを持っていくと、「まずそっちをやれ」で終わります。
Q4「効果はどう測るのか」
指標を1つに絞らないでください。時期によって見られるものが変わります。
| 時期 | 見る指標 | 測り方 |
|---|---|---|
| 公開直後〜 | 視聴維持率 | YouTubeアナリティクス |
| 公開直後〜 | 採用ページの滞在時間 | アクセス解析 |
| 1〜3ヶ月 | 応募数 | 媒体の管理画面 |
| 3〜6ヶ月 | 面接辞退率・内定辞退率 | 採用管理表 |
| 半年〜1年 | 入社後3ヶ月定着率 | 人事データ |
| 随時 | 入社者への「決め手は何でしたか」 | 面談で1問聞く |
稟議書には、指標だけでなく「誰がいつ見るか」まで書いてください。測る人が決まっていない指標は、実際には測られません。
Q5「失敗したらどうするのか」
ここに答えられると、決裁者のリスク感がかなり下がります。契約前に次の2点を確認してください。
- 修正回数の上限と、超過時の単価。現場系企業は社内確認が2周3周するのが普通です。書面に無いと後で揉めます
- 撮影した元素材の権利と、二次利用の可否。完成品だけ納品され未使用カットが制作会社に残る契約だと、数年後に短尺を作り直すとき撮影費が丸ごと再発生します
とくに2つ目は、「今回だけでなく数年使えます」という説明の裏づけになります。元データが手元に残るなら、その旨を稟議書に書いてください。
金額の見せ方
総額だけを出すと高く見えます。比較対象を隣に置いてください。
自社の数字を入れてください。①1人採用するのにかかっている費用(年間の採用関連費÷採用人数)②早期離職1人あたりの損失(採用費+教育にかけた時間の人件費)。この2つと制作費を並べると、金額の大小が判断できる形になります。動画単体の費用ではなく、採用全体の費用の中での位置づけとして出すのが要点です。
また、金額の段を1つにしないでください。いきなり数十万円の制作から入らず、小さく始める選択肢を並べると通りやすくなります。金額が下がれば決裁のラインも下がり、現場判断で通せる範囲に収まることがあります。
よくある質問
採用動画の稟議が通りません。何が足りないのでしょうか?
金額そのものより、金額に見合う効果を説明する材料が不足している場合がほとんどです。応募が増える時期と判断指標、工程別の見積内訳、無料の打ち手を先に試した記録、効果測定の方法と担当者、失敗時の扱いの5点を紙で用意すると議論が前に進みます。
「採用動画で応募は増えるのか」と聞かれたら、どう答えればいいですか?
増えますが半年から1年かかると正直に答えてください。当社が支援した例では最初の応募まで3〜4ヶ月かかっています。また応募の入口が動画とは限らず、求人媒体で見つけた人が動画を見て応募を決めるケースもあるため、動画で応募を集めるのではなく、いま出している求人が決まるようになる、という説明のほうが実態に合います。
「動画制作一式」の見積書でも稟議に出せますか?
出さないほうがいいです。何にいくら払うのかが分からない見積書は比較も検証もできません。企画・構成、撮影(拠点数と日数を明記)、編集・MA、ディレクション・進行の4つに分けて出し直してもらってください。
「他の方法ではだめなのか」と聞かれたときの答え方は?
費用ゼロの打ち手を先に試した記録を用意してください。求人票の書き換えと写真の差し替えを行い2週間結果を見たうえで、文面と写真では1日の流れと人の様子が伝わらなかった、という論拠を示します。無料の手を試していない状態で見積もりを出すと、まずそちらをやるよう指示されて終わります。
採用動画の効果はどの指標で測ればいいですか?
時期ごとに変えてください。公開直後は視聴維持率と採用ページの滞在時間、1〜3ヶ月で応募数、3〜6ヶ月で面接辞退率と内定辞退率、半年から1年で入社後3ヶ月定着率です。最も確実で費用がかからないのは、入社した方に決め手は何でしたかと1問聞くことです。
採用動画の費用は、社内でどう位置づけて説明すればいいですか?
動画単体の費用ではなく採用全体の費用の中で見せてください。1人採用するのにかかっている費用(年間の採用関連費を採用人数で割った額)と、早期離職1人あたりの損失(採用費と教育にかけた時間の人件費)を制作費の隣に並べると、金額の大小を判断できる形になります。
失敗したときのリスクについて、契約前に確認すべきことは?
修正回数の上限と超過時の単価、そして撮影した元素材の権利と二次利用の可否の2点です。完成品だけが納品され未使用カットが制作会社に残る契約だと、数年後に短尺を作り直す際に撮影費が再度かかります。
まとめ
稟議で止まるのは、たいてい金額ではなく答えられない質問です。この記事の5問に紙で答えられていれば、決裁者は判断できます。
そして最も効くのは、費用ゼロの打ち手を先に試した記録です。求人票を直し、写真を差し替え、それでも足りなかった。この順番があるだけで、動画の必要性は自明になります。
まず無料の打ち手から試すべきと判断した場合は、その旨をお伝えします。
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