警備員の募集コストを下げる3つの見直し|70代が最多層という前提から考える

人が入っては抜けることを繰り返す循環と、そのたびに積み上がるコストを表した抽象図 業界別の採用課題

SECURITY / 警備業

最大の年齢層は70代。
最少は30代。

警察庁の最新統計を開くと、募集コストが下がらない理由が構造として見えます。

「募集をかけるたびに、掲載費が上がっている気がする」

「採用できても、1年もたずに辞めてしまう」

「応募が来るのは高齢の方ばかり」

警備業の募集コストを下げるには、まず誰がこの仕事に就いているのかを正確に知る必要があります。警察庁の統計を見ると、多くの会社が想定している人物像と、実際の構成にはかなりの開きがあります。

結論:70代が最大層で、30代が最少層

警察庁「令和7年における警備業の概況」から、警備員の年齢別構成を並べます。

年齢層人数構成比
30歳未満65,028人10.9%
30〜39歳52,968人8.9%(最少)
40〜49歳78,479人13.1%
50〜59歳118,001人19.8%
60〜64歳75,001人12.6%
65〜69歳78,496人13.1%
70歳以上129,012人21.6%(最多)
出典:警察庁「令和7年における警備業の概況」警備員の年齢別・男女別状況(令和7年末)。警備員総数596,985人。

読み取れることは3つです。

  • 70歳以上が21.6%で、全年齢層のなかで最も多い。30歳未満(10.9%)のちょうど2倍です
  • 60歳以上を合計すると47.3%。ほぼ半数が60代以上です
  • 30代が8.9%で最少。20代より少なく、40代よりも少ない。ここだけ谷になっています

3つ目が特徴的です。30代は、他の業界なら現場の中核になる年代です。そこが最も薄い。20代で入った人が30代で抜けている、という形が疑われます。

もうひとつの数字:在職年数が二極化している

同じ統計に、在職年数の内訳があります。こちらのほうが、募集コストに直結します。

在職年数人数構成比
1年未満109,450人18.3%
1〜3年未満127,560人21.4%
3〜10年未満186,085人31.2%
10年以上173,889人29.1%
出典:同上、警備員の在職年数別・男女別状況(令和7年末)。

在職1年未満が18.3%。5〜6人に1人が、入って1年たっていません。一方で10年以上が29.1%もいます。

つまりこの業界は、長く続ける人と、すぐ辞める人にはっきり分かれています。そして募集コストを押し上げているのは、前者ではなく後者です。採るたびに辞められるから、採り続けなければならないという循環になります。

募集コストの正体

掲載単価が上がっているという実感の背後には、掲載の「回数」が増えているという要素があります。1年未満で抜ける人の穴を埋めるために募集を繰り返せば、単価が同じでも年間の総額は増えます。単価交渉より先に、回数を減らすほうが効きます。

募集コストを下げる3つの見直し

01「1年もたない人」が辞める理由を、入社前に開示する

いちばん効くのがここです。在職1年未満が18.3%という数字は、入社前の想像と実際が食い違っている人が相当数いることを示しています。

警備の仕事で、入る前に伝わりにくいのは次のあたりです。

  • 1つの現場に立ち続ける時間と、休憩の取り方
  • 夏と冬の屋外業務の実際
  • 深夜勤務の頻度と、シフトの組まれ方
  • クレーム対応や、通行人とのやりとりがどの程度あるか
  • 研修(法定教育)の内容と、その間の給与

これらを募集の段階で書くと、応募数は減ります。ただし減るのは知っていたら応募しなかった人です。その人を採用して1年以内に辞められると、募集費用と法定教育のコストが丸ごと消えます。

02ターゲットを年齢層で分けて、別々に募集する

構成比を見れば分かるとおり、この業界の応募者層は幅が非常に広い。10代から70代以上までが同じ職種に就いています。ところが募集原稿は1本で兼ねていることが多い。

60代以降の方が知りたいことと、20代の方が知りたいことは重なりません。

若年層が知りたいことシニア層が知りたいこと
働き方将来のキャリア、資格取得週何日から入れるか、短時間可か
体力面あまり気にしない立ち仕事の時間、休憩の取り方
収入昇給の見通し年金との兼ね合い
人間関係同年代がいるか年齢を理由に浮かないか
1本の原稿で両方に答えると、どちらにも刺さらない文面になります。

70歳以上が最多層という事実は、シニア向けの募集を本気で書く価値があるということでもあります。片手間の一文ではなく、専用の原稿を作ってください。

0330代の谷を埋めにいくかどうかを、先に決める

30代が8.9%と最少である以上、ここを狙うのは業界全体の流れに逆らう挑戦になります。やる価値はありますが、片手間ではできません。

狙うなら、30代が抜けていく理由に答える必要があります。多くはその先のキャリアが見えないことです。警備業務検定や警備員指導教育責任者といった資格と、その先の役割・待遇を具体的に示せるかどうかが分かれ目になります。

示せないなら、無理に狙わず、40代以上とシニア層の採用を丁寧にやったほうが、募集コストは下がります。

効かない見直し

掲載媒体を増やす

原稿が同じまま掲載先だけ増やすと、見る人は増えますが判断は変わりません。回数が増えるぶん総額は上がります。原稿を直してから増やしてください。

時給だけを上げる

近隣他社もすぐ追随します。1年未満で辞める人の割合が変わらなければ、募集の回数は減りません。

「未経験歓迎」とだけ書く

この業界はほぼ全社が未経験を受け入れています。情報として機能していません。書くなら、未経験の人が最初に受ける法定教育の内容と、その間の給与の扱いまで書いてください。

よくある質問

警備員の年齢構成はどうなっていますか?

警察庁の令和7年統計では、70歳以上が129,012人(21.6%)で最も多く、次いで50〜59歳が118,001人(19.8%)です。30〜39歳は52,968人(8.9%)で最少となっています。60歳以上を合計すると47.3%で、ほぼ半数を占めます。

警備員の募集コストが下がりません。何を見直せばいいですか?

掲載単価より先に掲載回数を見てください。在職1年未満の警備員が18.3%を占めており、早期に辞めた人の穴を埋めるための募集が回数を押し上げています。入社前に伝わりにくい情報を開示して、早期離職そのものを減らすほうが総額は下がります。

警備員はすぐ辞めると言われますが、実際はどうですか?

二極化しています。在職1年未満が18.3%いる一方で、10年以上が29.1%を占めます。全員が辞めやすいのではなく、早期に辞める層と長く続ける層に分かれている構造です。

警備員の募集で若手を採用するのは難しいですか?

業界全体では30〜39歳が8.9%と最少層で、20代より少ない状況です。狙う場合は、警備業務検定や警備員指導教育責任者といった資格と、その先の役割・待遇を具体的に示す必要があります。示せない場合は40代以上とシニア層の採用を丁寧に行うほうが募集コストは下がります。

シニア向けの警備員募集は、若手向けと分けるべきですか?

分けたほうがいいです。若年層は将来のキャリアや資格取得、昇給の見通しを知りたい一方、シニア層は週何日から入れるか、立ち仕事の時間と休憩の取り方、年金との兼ね合いを知りたがります。1本の原稿で両方に答えるとどちらにも刺さりません。70歳以上が最多層である以上、専用原稿を作る価値があります。

警備の求人に「未経験歓迎」と書く意味はありますか?

ほぼ全社が未経験を受け入れているため、それだけでは情報として機能しません。未経験の方が最初に受ける法定教育の内容と、その期間の給与の扱いまで書くと判断材料になります。

まとめ

警備業の募集コストは、単価ではなく回数で膨らみます。そして回数を押し上げているのは、在職1年未満で抜けていく18.3%です。

この層を減らす方法は、入社前の情報開示しかありません。応募数は減るかもしれませんが、募集の回数が減れば年間の総額は下がります。そのうえで、最多層である60代以上に向けた専用の原稿を用意してください。片手間の一文では届きません。

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