採用動画は意味ない?「効果がなかった」会社に共通する3つの失敗

発信されたものが受け手に届く途中で薄れて消えてしまう構造を表した抽象図 動画の実務

EFFECT / 効果検証

意味がないのではなく、
意味がない作り方がある。

「効果がなかった」と言われる動画には、驚くほどはっきりした共通点があります。

「採用動画を作ったけど、応募は増えなかった」

「社内で”あれ意味あったの?”と言われている」

「作る前に、失敗しないか確かめたい」

制作会社が書く記事なので、まず立場をはっきりさせておきます。採用動画に意味がなかったケースは、実際にあります。私たちも、他社が作った動画を見せていただいて「これは効かないですね」と申し上げたことが何度もあります。

ただしその原因は、動画という手段そのものではありません。3つのどれかに当てはまっているだけです。しかも3つとも、作る前に潰せます。この記事では、その3つと、作る前に決めておくべきことを整理します。

結論:効かなかった動画に共通する3つ

① 目的が「動画を作ること」になっていた

手段が目的化している状態。何が起きたら成功なのかが、社内で誰も答えられない。

② 置き場所を決めずに作った

納品されたが、置く場所が採用サイトの下部だけ。そもそも見られていない。

③ 良いところしか映っていない

見た人の不安が何ひとつ消えない。応募は増えず、入社してもすぐ辞める。

逆に言えば、この3つを潰した動画は、そう簡単には外しません。順に見ていきます。

失敗① 目的が「動画を作ること」になっていた

いちばん多い失敗です。「他社も作っているから」「採用サイトをリニューアルするから、動画も」。きっかけとしては自然ですが、何が起きたら成功なのかを決めないまま発注すると、評価のしようがありません。

目的が定まっていない動画は、構成が必ずこうなります。

  • 社長の挨拶
  • 若手社員のインタビュー(「風通しがいいです」「先輩が優しいです」)
  • 作業風景のイメージカット
  • ロゴで締め

この構成が悪いわけではありません。ただ、同じ業界の他社も、ほぼ同じ構成で作っています。並べて見せられたら、求職者には区別がつきません。区別がつかないものは、判断材料になりません。

先に答えるべき3つの問い

「誰に見せるのか」「その人が今どんな不安を持っているのか」「見終わったあとに何をしてほしいのか」。この3つに社内で答えが出ていない状態で発注しないでください。制作会社に決めさせると、無難な構成に落ちます。

失敗② 置き場所を決めずに作った

意外に思われますが、効果がなかった動画の多くは、そもそも見られていません。再生数が二桁で止まっている、というケースは珍しくありません。

3分の本編を1本だけ作って、採用サイトの下のほうに置く。これだと、そのページまで来た人しか見ません。動画の効果は、内容の質より先に、置き場所の数で決まります。

置き場所必要な尺役割
採用サイト2〜3分興味を持った人を深く納得させる
求人媒体(Indeed等)30〜60秒他社の求人と並んだときに目を止める
SNS(Instagram/TikTok)15〜30秒まだ転職を考えていない層に届く
会社説明会・面接2〜3分説明の手間を減らし、認識を揃える
内定者フォロー1〜2分辞退を防ぐ。入社前の不安を消す
本編1本だけでは、上の1行しか埋まりません。

発注時に「短尺の切り出しを何本つけるか」を必ず決めてください。撮影は同じでも、編集の設計が変わります。あとから切り出そうとすると、素材が足りずに撮り直しになることがあります。

失敗③ 良いところしか映っていない

3つ目がいちばん根が深い失敗です。

採用動画を作るとき、社内では「いいところを見せよう」という力が働きます。きれいな現場、笑顔の社員、整った休憩室。結果として、求職者が本当に知りたいことが1つも映らない動画ができあがります。

現場職に応募しようとしている人が抱えている不安は、だいたい具体的です。

  • 実際、体力的にどのくらいきついのか
  • 夜勤や休日出勤は、月にどのくらいあるのか
  • 未経験でも本当にやれるのか。最初の1ヶ月は何をするのか
  • 職場に自分と同年代の人はいるのか
  • 先輩はどんな人か。怒鳴られたりしないか

この不安に何も答えない動画を見ても、応募の判断は変わりません。「良い会社そうだな」で終わって、応募ボタンは押されません。

きつさを見せると応募は減ります。それでいい

実際、正直に見せると応募数は減ることがあります。ただし減るのは「知っていたら応募しなかった人」です。その人が入社してしまうと、3ヶ月で辞めます。採用にかけた費用と、教えた時間が丸ごと消えます。応募数ではなく、入社後に残る人数で見てください。

そもそも「効果がある」とは何を指すのか

「効果がなかった」と言うためには、何をもって効果とするかが決まっている必要があります。ここが曖昧なまま作ると、成功しても成功だと分かりません。

指標測り方向いている課題
応募数媒体の管理画面そもそも母集団が足りない
視聴維持率YouTubeアナリティクス構成が合っているかの検証
面接辞退率採用管理表応募は来るが面接に来ない
内定辞退率採用管理表他社に流れている
入社後3ヶ月定着率人事データミスマッチによる早期離職
現場系企業で効果が出やすいのは、応募数よりも下の3つです。

特に応募数だけを指標にすると、たいてい「効果がなかった」という結論になります。応募数は媒体の掲載順位や求人広告費に大きく左右されるので、動画の寄与だけを切り出せません。

一方、面接辞退率と入社後3ヶ月定着率は、動画の影響が出やすい指標です。事前に会社と仕事の実態が伝わっていれば、「思っていたのと違う」で離脱する人が減るからです。

意味がある動画の3条件

01誰の、どの不安を消すかが1つに絞れている

「若手にも中途にも女性にも刺さる動画」は、誰にも刺さりません。ターゲットを1つに絞り、その人が抱える不安を1〜2個に絞る。絞るほど、他社の動画と違うものになります。

02見せると不利なことも入っている

夜勤の実際、体力的にきつい工程、最初の1ヶ月にやること。不利な情報が入っている動画は、それだけで信用されます。都合のいいことしか言わない会社を、求職者はもう見慣れています。

03置き場所と尺が先に決まっている

本編何分、短尺何本、どこに置くか。これが撮影前に決まっていれば、必要なカットが決まり、無駄な撮影がなくなります。費用が下がり、効果が上がります。

発注前チェックリスト

この6つに社内で答えが出ていれば、まず失敗しません。逆に3つ以上「まだ決まっていない」があるなら、発注を急がないでください。

  • この動画は、誰に見せるものか(職種・年齢層・経験の有無まで)
  • その人が今いちばん不安に思っていることは何か
  • 見終わったあとに、何をしてほしいのか
  • どこに置くか。何本必要か
  • 何が起きたら成功と判断するか。誰がその数字を見るか
  • 見せると不利だが、事前に伝えておくべきことは何か

よくある質問

効果が出るまでどのくらいかかりますか?

応募への影響は公開から1〜3か月、定着率への影響は入社者が出てからなので半年〜1年かかります。1か月で判断しないでください。先に見るべきは視聴維持率で、これは公開直後から取れます。

作り直したほうがいいですか?

まず既存の動画の視聴維持率を見てください。序盤で大きく落ちているなら構成の問題なので、撮り直さずに編集だけで直せることがあります。そもそも再生数が二桁なら、動画の問題ではなく置き場所の問題です。

再生数が伸びないのですが

採用動画は再生数を狙うものではありません。応募を検討している数十人にきちんと見られていれば十分です。ただし二桁で止まっているなら、置き場所が足りていません。求人媒体とSNSに短尺を置いてください。

社員が出たがりません

顔出しなしでも成立します。手元・作業風景・音声のみのインタビュー・後ろ姿でも、伝えたい情報は届きます。無理に出演させると表情に出るので、かえって逆効果です。

まとめ

採用動画に意味がないのではなく、目的・置き場所・中身の3つを決めずに作ると意味がなくなる、というだけの話です。この3つは、発注前に社内で決められます。制作会社に丸投げせず、先に決めてから見積もりを取ってください。

それでも決めきれない場合は、「決めるところから一緒にやる」制作会社を選ぶのが安全です。撮影と編集だけを請け負う会社に頼むと、決まっていない状態のまま撮影日が来ます。

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